こんにちは、なごや社会福祉士事務所の行成です。
私は双極症という病気(うつ病の親戚のようなもの)を患っていて、定期的に通院しています。
ただ、私は自分の話をするということが極端に苦手です。
なぜかと言うと、育ってきた環境に原因があると思うのです。家族全員、必要最低限の連絡事項くらいしか会話をしない人たちだったので、自分の気持ちを話したり、「今日学校でね」みたいな世間話もしてこなかったんですね。
それでコミュニケーションをとるのが苦手な大人になったわけですが、そんな中でも精神科でお医者さんと話す、というのが特に苦手だったりします。
そもそも精神科医は患者の何をどうみているのか
精神科医の大事なミッションのひとつが、処方です。
患者としても一番に求めているのは、やっぱり薬です。
服薬によって症状を安定させて、精神療法などでどうすれば生きやすくなる考え方などを探っていくので、その土台となる薬は本当に大切なものです。
なので、精神科医としても薬が今の生活にどう作用しているのか、副作用と作用のバランスはどうか、というところに注目しています。
精神科の薬の副作用
身体に薬物を入れるわけですから、当然作用もあれば副作用もあります。
市販薬でもそうですが、添付文書には「こんな症状が出たら医師に相談を」という一文が書かれているかと思います。
例えば、花粉症などのアレルギー薬では眠気が副作用として出ることがあります。
より重篤な副作用には、けいれんもあります。そうなったら医者へGOです。
精神科の薬の副作用には、「眠気」や「体重増加」などがよく見られますが、重篤な副作用として悪性症候群やけいれんなどが現れることもあります。
悪性症候群とは
精神神経用薬(主に抗精神病薬)を服用中に、高熱や意識障害を起こす「悪性症候群」が発症することがあります。
何かのお薬を服用していて、次のような症状が同時に複数みられた場合には、医師、薬剤師に連絡して、すみやかに受診してください。「他の原因がなく、37.5℃以上の高熱が出る」、「汗をかく」 、 「ぼやっとする」、 「手足が震える」、「身体のこわばり」、「話しづらい」、「よだれが出る」、 「飲み込みにくい」、「脈が速くなる」、「呼吸数が増える」、「血圧が上昇する」
風邪でもないのに発熱が続いている…などの症状が出たら、悪性症候群を疑った方が良いかもしれません。
その他、気になることがあれば医師に相談しましょう。
薬は自分に合っているのか
精神科の診断や処方は、基本的に手探りです。
特に通い始めてばかりのときは医師や薬と相性が合っているのか、なども手探り。
そのため、薬を飲み始めてからどんな変化が起きたかを医師に伝えることが大切です。
薬を飲み始めてから、あるいは処方が変わってから精神の状態がどう変化したか、睡眠や活動の状態がどう変化したか、またはどう推移しているかを伝える事で、医師も状態像に合った処方が出来ます。
例えば、私の場合ですが、最初に訪れたクリニックではジェイゾロフトという薬が処方されました。なかなか効果が出ず、薬の量がどんどん増えていきましたが、それに伴って増えたのが「立っていられないほどの動機や息切れ、めまい」などの症状です。
医師に「薬が増えてからこういうことが増えました」と伝えることで、別のお薬に変更となりました。
良い作用が出ることを期待して薬を飲んでも、副作用の方が強く出てしまうことはよくあります。
日記などでも良いので、処方変更があった時はどんな身体の変化が起きたのかを記録しておくと、診察室でスムーズに話をすることができるでしょう。
包み隠さず話すことが大切
「この先生、ちょっと話し辛いな…」
と思うこともあるかもしれません。
薬との相性以上に重要になるのは「その医師を信頼できるか」です。本当のことを言えず隠してしまうくらいなら、思い切って医師を変えてしまった方が良いかもしれません。
人対人ですから、どんなに腕が良いと評判の医師でも自分には合わない、というのは仕方がないことです。
口で言いにくければ手紙を書いて持っていくなどの工夫をしてみて、それでもどうしても本音を言えない、言い辛い医師であれば、別の医師を探すことも検討してみてください。
私も前の医師とはどうしても話をすることが出来ず、クリニックを変えています。
転院の際には紹介状を書いてもらうようにすると、スムーズです。
出来事に対する自分の反応を話しましょう
上手に話せない私のような人は、一度文章に起こしてから話すのが効果的です。
例えば、
「会社から電話がかかってきた瞬間、心臓がバクバクして手足が震え、”電話に出たくない、怖い”と思った」
これを医師に伝えるときに、今まで私はこう話していました。
「会社からの電話にすごく緊張しました」
間違ってはないんですけど、これじゃ状況が全然伝わりませんよね。
でも私は話すことが苦手なので、なんの準備もなく「最近どうですか?」という会話が始まると、固まってしまうんです。もしくは、「ちょっと落ち込み気味です」みたいな曖昧な表現にとどまってしまう。
オープンクエスチョンに弱いんですね。
回答の範囲を制限しない質問。「はい」「いいえ」などの選択肢がなく、回答者が自由に考えて答える質問。
「休暇にはどこへ行きたいか」「なぜそう思うか」といった質問など。
精神科の診察ではまずオープンクエスチョンから入ります。
面接技法というのがあるんですが、診察室ってほぼこんな配置になっていると思います。
多分、こういう配置のところはほぼないと思います。
医師が話を聞くときって、まず「正面 対 正面」っていうポジション取らないんです。ちょっと斜め。これ、話をしやすい角度なんです。
つまり何かというと、話を聞きたいんです、医師は。
話の内容だけじゃなくて、話をしている様子、声の大きさ、視線の動き、色んなことを見て患者の情報を収集して分析します。だから最初はありのままを患者に語らせるために「オープンクエスチョン」をします。
なぜ話を聞きたいかというと、治療のためです。
治す気のない医者は基本的にいないはずです。
治療、したいですよね。したいから受診するんですよね。
であれば、話せる人は、遠慮せず思いのたけを思ったままストレートに伝えましょう。
ただ、とりとめもなく話をするよりは、以下の点に注意すると診察がスムーズにいくと思います。
- どんな出来事があって
- それに対してどう感じて、どう考えて
- どんな体の反応が出たか、どう行動したか
話すのが苦手な場合
私は前述の通り、自分について話すことが苦手です。
何故話すのが苦手なのか、というと以下のようなパターンがあると思います。
- 自分のことがイマイチよくわかっていない
- 自分のことを話すことに慣れていない
- 「どう?」と言われると頭が真っ白になる
ちなみに私は全部該当します。本番に弱いタイプです。
では、どうしたら良いのかというと、事前にメモ帳などに出来事とそれに対する自分の感じ方や反応を書いたり、睡眠状況を毎日記録するのです。
手帳やメモ帳などを見ながら話をすると、伝えたいことを伝えることができます。
医師への「手紙」という形で渡すのも良いと思いますが、前述の通り医師は患者の話し方、視線、様子を観察しながら診察しているので、なるべく自分の口で伝えた方が、医師にとって判断材料が増えるので、がんばって話をしてみましょう。
精神科でお医者さんと上手に話すには
色々書きましたが、要はありのままの自分を伝えることができれば大丈夫、ということです。
ただ、うつ病などにかかると記憶力が低下したりするので、毎日何かしら記録を残して、診察の日に読み返し、メモ帳に要約して持っていくことで、より適切な治療につながるでしょう。
話すのが苦手な方はぜひ、メモ帳や日記を活用してみてください。